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では、その付加価値はどこにあるのだろうか? 新入りたちの紹介

過去10年間、時計産業で最も興味深い分野のひとつが、いわゆる“マイクロブランド”と呼ばれる分野である。マイクロブランドとは、独立した小規模の時計製造会社のことで、製品設計する個人が経営し、物理的な製造には国際的なサプライヤーネットワークを利用する形態が多い。

ムーブメントはスイスのセリタ社、日本のセイコー社やミヨタ社から供給を受け、ケースやその他の部品はスイスの家内工業から香港や深センのハイテク工場まで、あらゆるところから供給されるのが一般的である。ブランド自体の労働力投資が最小限であることを考えると、価格は数百ドル程度のエントリークラスから、私が以前指摘したミドルレンジの高水準である3500ドル(約49万円)前後を超えるものまで、様々だ。

このように、マイクロブランドは混沌としており、どの会社が手っ取り早くサブマリーナーのオマージュを作って金を稼ぐのではなく、長い目で見ているのかを判断するのは難しい場合がある。しかし、このニッチ市場が成熟するにつれ、長期的な視点と、この業界に大きなインパクトを与え、独自のビジュアルアイデンティティを構築し、忠実なファンを確立したいという願望を持って活動している企業を見分けることができるようになったように思う。

セイコー ガランテ クロノグラフ メンズSBLA025

カテゴリー 新品 セイコー その他
型番 SBLA025
機械 スプリングドライブ
材質名 ステンレス
タイプ メンズ
文字盤色 シルバー
文字盤特徴 ローマ
外装特徴 シースルーバック
ケースサイズ 44.0mm
機能 2タイム表示
クロノグラフ
デイト表示
パワーインジケーター
付属品 内・外箱
ギャランティー
ベルト・尾錠 共に純正

高品質の時計をしっかりとミドルレンジのセグメントにアクセスできる価格帯で提供しながらも、実験性を恐れずに高い評価を得ているブランドばかりだ。例えば、ゼロスは、おそらく最近の世界中のどのスーパーコピー時計メーカーよりも多様なケース素材に取り組んでいる。一方、英グラスゴーのアン・オーデインは、文字通りmétier d'art(メティエダール:工芸)を民主化し、エナメルダイヤルを大衆向けに提供している。ところで、オーク&オスカーの時計のケースバックに本物のカーリングストーンが埋め込まれていたのを覚えているだろうか?

独立した国際的な小規模生産の時計スペースの進化において、最も重要で影響力のある時計メーカーのひとつが、アバンギャルドなスイス製時計を製造するマレーシアの会社Ming(ミン)で、写真家、作家、物理学者のMing Thien(ミン・ティエン)氏が2017年に設立した。ミンは、5年前に900ドル(約12.6万円)のセリタ搭載の2針モデルから、スイス製トゥールビヨンを搭載する数万ドルの超限定モデルに至るまで、同業他社をはるかに上回る速度で視野を広げ、時計学の実験を受け入れてきた。

ミンは明らかに大きな計画を持っているので、ミドルレンジの枠に当てはめるのは躊躇われる。しかし、このブランドの急成長が、若い企業の成長に対する見方を進化させたことを認めるのは重要なことだ。とはいえ、ミンはまだミドルレンジを見捨てたわけではない。ミンの最新作のひとつは、夜光塗料に焦点を当てた革新的なダイヤルと、セリタがミンのために製造した独自のムーブメントを備えた、価格がわずか3500スイスフラン(約50万円)以下のモデルだ。

ノモス、ベル&ロス、フレデリック・コンスタントは、1988年から1993年までの5年間に誕生したブランドで、独自のビジュアルアイデンティティを確立し、外部調達ムーブメントを採用し、徐々に自社生産と高い価格帯に移行した、現代の“ミドルレンジ”セグメントにおけるパイオニアとして認識することができると思う。この3ブランドは、いずれもヨーロッパの伝統的なラグジュアリーオーラから恩恵を受けているが、新世代の“ミドルレンジ”ウォッチメーカーが世界中から生まれない理由はないだろう。

そろそろ“マイクロブランド”なんて小難しい言葉は卒業して、anOrdain(アン・オーデイン)、フェラー、ミン、モンタ、オーク&オスカー、ゼロスなどを時計界の新しい“ミドルレンジ”の文化的リーダーとして受け入れてもいいのではないだろうか?

彼らや他の多くの小規模なインディペンデントメーカーが、前世代のミッドレンジの時計メーカーに対して間もなく優位に立つであろう分野のひとつが、調達可能な量産型ムーブメントの品質である。ETA社が長年にわたって独占してきたエボーシュというカテゴリーの覇権は、(自らの意思で)終わった。その地位に取って代わったのが、ラ・ショー・ド・フォンに巨大な製造拠点を持つセリタで、2824(セリタのバージョンはSW200)や7750(SW500)など、長年にわたって人気を博してきたETAキャリバーの伝統的な構造をベースにした高品質のスイス製ムーブメントを製造している。

しかし、新しいムーブメントは次々と市場に投入されている。

例えば、最近発表されたミヨタ社Cal.9075を見ればわかる。この新しいムーブメントは、文字通り、ローカルジャンピングアワー針機能を備え、サードパーティ企業が購入できる、史上初の手頃なGMTムーブメントである。ロレックスのGMTマスター IIやその他のハイエンドGMTウォッチに見られるようなトラベルタイム機能を提供するこのムーブメントを採用するエントリーレベルやミドルレンジの時計メーカーが大量に現れる日も近いと思われる。